●心筋梗塞の発病因子
・喫煙
・高コレステロール血症(特に高LDLコレステロール血症)
・糖尿病
・高血圧
・狭心症・心筋梗塞の家族歴
・加齢(男性45歳以上、女性65歳以上)
・ストレス
・肥満
・男性>女性
・痛風(高尿酸血症)
・血液透析
・高ホモシステイン血症
・歯周病
●心筋梗塞の検査
●心電図
心電図 (ECG) の所見としては ST上昇や異常Q波が特徴的であり、これがどの誘導肢に現れるかで梗塞部位や責任血管部位の診断が行える。
もちろんミラーイメージの ST低下も含む。
hyper acute T は臨床所見と組み合わせて判断する。
●心筋梗塞の心臓超音波検査
心臓超音波検査(エコー)は、ごく軽度の心筋梗塞を検出する上で心電図や血清生化学検査に勝る簡便で最も有用な検査であり、心筋の壁運動低下を検出することにより診断する。
ただし、心尖部や下壁に限局した梗塞の場合など、明らかな壁運動異常(asynergy)を検出しにくい場合もある。
さらに副側血行路がある場合壁運動異常(asynergy)を呈さず、心電図も異常を示さず診断が困難になる場合も多々ある。
心筋梗塞による MR(僧帽弁閉鎖不全症)の有無の診断にも役立つ。
三尖弁の圧格差(TRPG)を計測することで肺動脈圧を推定することが可能であり、心不全の評価にも役立っている。
すでに壁運動低下部位が薄くなって輝度が亢進していればそれは陳旧性病変である。
●心筋梗塞のSwan-Ganzカテーテル検査
カテーテル検査では、鼠形動脈から差し込んだカテーテルを右心室・心房を経由して肺動脈まで進め、ここでバルーンを用いて間接的に左心房の圧力(肺動脈楔入圧)を計測する方法が取られる。
また、先端から冷水を注入してセンサーを用いた温度測定を行い、血流の量を知る方法もある。
これらで得た肺動脈楔入圧(mmHg)と心係数(CI、心拍出量/体表面積、L/分/m2)で分類したものがForresterの分類である。
心係数2.2以下を末端循環不全、肺動脈楔入圧18以上を肺うっ血状態とし、それぞれの区分から重症度を判定し投与する医薬品の種類や治療法を定めている。
●心筋梗塞の心筋シンチグラフィー
心筋梗塞はないか、血流の少ないところはないか、心筋は正常に動いているか、心臓の働きを果たしているかなどを調べる検査。
シンチグラフィーとは、体内に投与したグルコースなど放射性同位体から放出される放射線を検出し、その分布を画像化したもの。
陽電子放射型断層撮影法 (PET) と呼ばれる画像診断法の一つ。
腫瘍(がん)や各種臓器の機能の診断にも使われる。
また、核種の組織親和性を利用して、異所性胃粘膜の検出、甲状腺や唾液腺の検査にも使われる。
心筋梗塞の部位はテクネチウム-99mピロリン酸を取り込み、逆に正常な心筋はタリウム-201を取り込む性質を持つ。
これを利用しシンチグラフィーを行えば心筋梗塞の進展具合を確認できる。
●心筋梗塞の冠動脈造影CT
近年、医療機器の発達により、ごく少数施設のみではあるものの、64列マルチスライスCT (MDCT) による冠動脈病変の評価が可能となりつつある。
心臓カテーテル検査よりも簡便で、入院や複雑な合併症なども少ないため、今後は多用される可能性が高い。
ただし、心拍数や不整脈の影響を受ける、ステント内部の評価が困難であるなど、まだ万人の評価が可能とは言えず、今後の技術的発展が待たれる分野である。
●心筋梗塞の胸部レントゲン
胸部のX線検査は、心筋梗塞に対する特異的な所見は得られないが、重症度の判定や動脈瘤を除くための診断に用いられる。
●心筋梗塞の血液検査
トロポニン
トロポニンTとIは非常に特異度が高く、発症3時間以上経過した心筋梗塞の診断に役立っている。
H-FABP(=Heart-type fatty acid-binding protein
心臓由来脂肪酸結合蛋白)(ラピチェック)より早期(約1時間半)で、感度、特異度の高いという15分間で診断できるものも市販されている。
ただし腎不全患者などでは心筋のダメージと関係なくTnT、H-FABPともに陽性になることがあることが知られている。
CK-MB
心筋特異性が高い。また心筋の障害(壊死)の程度を反映する。
特異的でないが必ずみられる所見として、一番最初に上昇する白血球、AST(GOT)、LDH、CK、ミオシン軽鎖 の上昇があり、それぞれ上昇し始めた時期は発症時間の予測に役立つ。
一般的な血液検査で異常を来す時間は、白血球 2〜3時間、CK 2〜4時間、AST 6〜12時間、LDH 12〜24時間、CRP 1〜3日、ESR 2〜3日である。