2014年06月26日

心筋梗塞の治療(1)

●心筋梗塞の治療(1)


●急性期

絶対安静が原則である。

発症後急性期には致死的不整脈が容易に起こり死亡する危険性が非常に高い。

また、虚血の時間が長引くほど心筋の死滅が進み心機能の不可逆的低下が進行していく。



発病を疑った際は患者から目を離さず直ちに救急車を要請すること、患者の意識が消失し脈拍を触れない際には躊躇せず心臓マッサージを行うことが必要である。

機能的な心停止に陥った際には3分から5分以上の無処置は社会復帰率をほとんど無にしてしまう。

救急隊の到着を待たず直ちに救命処置(心臓マッサージなど)を開始する必要がある。



心筋梗塞は、心筋に対する相対的・絶対的酸素供給不足が原因であり、安静にして酸素吸入を行う。

また鎮痛および体の酸素消費低下目的で、モルヒネを投与する場合もある。急性期には心筋梗塞の病巣拡大を防ぐことが最大の目的となる。

一般的に「モルヒネ」「酸素吸入」「硝酸薬」「アスピリン内服」などが中心に行われ、Morphine, Oxygen, Nitrate, Aspirinの頭文字をとって「MONA(モナー)」という名称で心筋梗塞の応急処置(First Aid)として知られている。



発症から2時間を経過すると急速に壊死が進行していくが、6時間以内の心筋梗塞の場合、積極的に閉塞した冠動脈の再灌流療法を行うことで、心筋の壊死範囲を縮小可能である。

これに限らず、発症から24時間以内の症例では、再灌流療法を行う意義が高いとされる。


大別してカテーテル的治療 (PTCA, PCI) を行う場合と、血栓溶解療法 (PTCR) があり、国により、保険により、医師の判断により治療方針が分かれていることがある。

日本では、PCIの可能な施設も多く、急性期であればPCIが行われることが多い。

ただし、動脈を介した検査・処置であることから合併症も多い。


特に心電図上STの上昇が見られた場合、如何に早くPCIを行うかが重要であるが、救急搬入後直ちに同療法を行える体勢を取っている病院は、心臓病治療の先進国である米国でも僅かである。

狭窄部位が3つ以上であった場合などに、緊急冠動脈バイパス術 (CABG) が行われる施設もある。

PCI と CABG を比較すると PCI では25〜30%再狭窄を来すとされていたため、1枝病変であっても CABG に優位性があるという説もある。

しかし、2004年から薬剤溶出性ステント (Drug-eluting stent, DES) が保険適応となり、PCI の成績向上が期待されている。

posted by ホーライ at 02:45| 心筋梗塞の治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする